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説得力のある運転資金・設備資金融資申し込み金額の算出根拠

運転資金として融資を申し込む合理的な金額

金融機関というのは、融資したお金がきちんと返ってくるのか(=返済可能性)
と同じくらいその融資したお金を何に使うのか(=資金使途)について
きちんと審査をします。

ですから、「とりあえずこのくらいの金額を貸して欲しい」というのではなく、
「こういう事情でお金が必要なのでいくらお金を貸して欲しい」と
きちんとした説明できるようにしておくことが円滑な資金調達をするためには必要なのです。

さて、運転資金というのは既に申し上げたように
商取引を通じて会社が立て替えるべき資金のことであり、
この運転資金をまかなうための資金が運転資金融資であるのです。

具体的な運転資金とは、これら売上債権+在庫ー仕入債務という計算で求められます。
この運転資金は、資金回収、支払のサイト、在庫野売れ行き状況に変化がないのであれば、
売上高と相似形に増えていくことになります。

売上高が今後増えそうな時には、さらに立て替えるべき運転資金が必要になるわけです。
これらにより新たに発生するであろう運転資金の事を「増加運転資金」といい、
この金額が新たに運転資金融資の申込金額となっていれば
その資金使途が明確で説得力のある申し込みとなるのです。

そのためにも自分の会社がどれだけ資金の立替が必要か
売上高との関係で把握をします。
具体的には、売上高(月商)の何か月分だけ運転資金が発生するのかを計算します。
この分だけ収支がズレて資金の立替が必要になるのです。

運転資金回転期間(収支ズレ)=運転資金÷月商

取引条件が同じで売上高の規模が同じであれば、
運転資金というのは増減は全くありません。
というのも売上債権が回収されても、同じ金額だけ新たに売上債権は生まれます。
仕入債務や在庫についても同じです。

つまり、運転資金として融資を申し込む金額は売上高が増えた分に対して
新たに発生する運転資金分のみなのです。
ですから、今の月商からどれだけ売上高が増加するのかに、
資金の構造上必ず発生する運転資金の割合である収支ズレを掛けることで
その金額が計算されるのです。

増加運転資金=売上高増加予想額×収支ズレ

*このほかに取引条件が変更されたことによっても運転資金が増減します。

★ポイント
運転資金とは商取引上発生する立替金のこと。
新たに発生する運転資金額が運転資金融資の申込額となっていれば合理性が高い。

設備資金を満額引き出す事業計画書の作り方

運転資金が一般的に短期間の資金の立替を賄うものであるのに対し、
設備投資に必要な資金を賄う「設備資金融資」は
融資期間もその設備投資の回収期間も長期間となります。

そのため数値の予測もブレやすく金融機関のリスクも大きいため、その審査はより慎重になります。
この融資を受ける場合、その設備投資を含めた事業計画書を提出します。
事業計画書の出来次第で融資の可否に大きな影響をもたらすことになるのです。

この設備資金を申し込む場合には、下記の点を金融機関はチェックしています。

1.設備投資によるメリットの検証
2.回収可能性の検証
  (1)投資金額の回収期間の検証
  (2)返済可能性の検証

まず「その設備投資が本当にメリットのあるものなのか」というのは、金融機関も当然チェックをします。
メリットのない投資であればその資金を回収する可能性も低くなるからです。
どれだけの設備投資の効果があるのか、
例えば新製品の製造のための設備投資であれば
「どれだけの売上高ないし新たなキャッシュを生み出すのか」、
既存設備のリニューアルであれば
「その改善効果によってどれだけコストダウンないしどれだけキャッシュが増えるのか」を計算します。

同時に、
その「設備投資の効果によって投資金額がきちんと回収でき、融資もきちんと返済できるか」
を検証します。

具体的には、
設備投資によりもたらされる新たなキャッシュで設備投資金額が
何年間で回収をできるのかを判断します。
この回収期間がその設備の減価償却の法定耐用年数を超えている場合、
その設備を更新しようとした時点でもまだその投資を回収できていないことになります。

ですから、融資が実行されるためにはこの回収期間が少なくとも
法定耐用年数以下であることを事業計画書で示すことが必要なのです。

設備投資金額の妥当性
   =回収期間≦法定耐用年数

回収期間(年)
   =設備投資の総額÷設備投資による年間キャッシュ増加額

もう一つ金融機関がチェックするのは、
この会社が設備投資後も会社が潰れずきちんと融資した資金を返済できるかということです。

この場合には、設備投資単体ではなく、
設備投資後の会社全体の損益と財政状態を見る必要があります。

具体的には、
会社が獲得するであろう会社全体の返済財源で
会社全体の融資を何年間で返済できるかを見ます。
この年数がすでに申し上げた「債務償還年数」です。

ここで言う会社が獲得するであろう返済原資とは、設備投資後に期待される最終的な利益のこと。
しかし、その利益の計算上、減価償却費は実際には支出がないのに経費として差し引かれています。
そこで実際の収支に近づけるため最終的な利益である当期純利益に
減価償却費を加えたものを債務償還財源としています。

この債務償還財源で総借入金を割った債務償還年数が概ね10年以内であることが
安全に資金を回収できる目安と金融機関は考えていますので、
事業計画書上債務償還年数が10年以内になることを明示しておきたいものです。

融資金の返済可能性
   =債務償還年数≦10年

 債務償還年数
   =総借入金÷債務償還財源
  債務償還財源
   =当期純利益+減価償却費

★ポイント
設備投資の事業計画は「設備投資のメリット」と「無事に返済ができる」事を数値でアピールする。

<出典「会社の財務」 吉澤 大 著 日経BP社>

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