2000.10
特別保証のスタンス変更
−「いつでも借りられるは危険」−
|
| ●中小企業金融安定化特別保証 |
以前にもご説明したとおり、平成10年10月から従来の無担保保証枠とは「別枠」(別枠の意味については、2000.4月のワンポイントアドバイスを参照)で無担保保証である金融安定化特別保証枠が最大で50,000千円用意されています。
当初の期限であった平成12年3月末までのこの制度は、「貸すことが大前提」であった気がします。私の知る限りでは月商の3カ月分までの借入申し込みは断られた例がなく、中には、債務超過の会社でも融資を受けている例もあった程です。それは、金融機関が公的資金注入の際、中小企業向けの貸し出しを増やすことを公約していたことと、もし貸出先が破綻した場合でも金融機関はもちろん、保証協会さえもノーリスクであったことに起因していると言えるでしょう。
私個人としては、構造改革を遅らせたという弊害はあるものの、この制度には一定の評価をしています。金融破綻寸前の当時の状況では、優良な中小企業ですらマル保融資以外資金調達が難しい状況では他に方法がなく、「優良中小企業を救うために不健全企業も一緒に救ってしまった」といったところではないでしょうか。
私個人の感想とは別に、据え置き期間の終了した平成11年末頃から当初の「予想通り」、多くの不良貸付先が破綻し、保証協会への代位弁済が急増していますが、まだまだ日本経済の先行きが不透明であることから当初の期限は平成13年3月末までに1年間延長されました。その際、従来の融資姿勢では批判が多いことから、平成12年4月1日以後の融資については、「建設的努力」をしている先についてのみ行うこととなったのです。
|
| ●「建設的努力」の計画を有することが要件 |
建設的努力とは、
(1)事業規模の拡大により雇用の維持又は増加を図るか
(2)収益性の向上を図るか
のいずれかに該当する具体的な事業改善計画を有することとされていますが、その内容は、それを実現するための方策については、「付加価値額の増大」等と言う抽象的な選択肢にマルを付け具体的方法のコメントをし、計画による効果等も売上・従業員数・経常損益・当期損益の実績と将来2期間の予想を記載するのみです。
|
| ●記載は簡単、でも問題は・・・ |
期限延長前の特別保証を利用する際には直近期の平均月商と「金融機関が新規融資に応じなくなったため」という文言を記載するだけであったことからすれば、多少は具体的になったかもしれませんが、この事業改善計画書がどうにでも書けるA4一枚のものであることには代わりがありません。それこそ、破綻した某大手百貨店の再建計画書より簡単です(^^)
しかし、計画書の記載は簡単ですが、保証協会の特別保証融資に対する姿勢は大きく変わっています。また、平成13年3月をもってこの制度は打ち切られ、代替策として現在50,000千円までの通常無担保枠を80,000千円まで引き上げることになっています。これにより、当然従来の特別保証枠を利用した融資と異なり慎重に審査されることになります。
まあ、今までが異常で健全に戻ったと言ったところでしょうが、以前のようにいつでも簡単に融資が受けられることを前提にした資金調達計画をたてるのは危険です。
|
| ●他にもある無担保保証制度 |
最近は、業績が急回復している企業と低迷の止まらない企業との差が大きくなってきています。資金調達の分野でも今までのように不健全企業にも資金調達の道を開くというのではなく、健全な企業や成長企業には直接金融も含めて、資金調達手法の選択肢が広がり、そうでないところは選択の余地が一層少なくなってくることでしょう。
一定額以上の利益を継続して計上している等の財務内容の良い健全企業には、金融機関の支店長が推薦する形で別枠の無担保保証制度を設ける「特別推せん保証制度」やこれから新分野への進出を検討している企業には、「経営革新支援法認定」による別枠保証制度等があり、要件を満たすことは、これらの企業にとっては思ったほどハードルは高くありません。それらの方の前向きな資金需要には、一度利用をご検討してみては如何でしょうか。
経営革新支援法の詳細はこちら
関連:中小企業雇用創出人材確保助成金
|