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2000.9

相続税評価の矛盾

−財産評価基本通達の限界−

●平成12年度路線価発表

8月4日に平成12年度の路線価が発表となりました。全般的には8年連続の下落であり、地域別に見ると都心回帰が鮮明となったため都心部の下落幅は縮小し、その周辺地域で下落幅が拡大したようです。

まあ、現在はこの路線価は、1月1日現在の公示価格の80%に設定されているため、すでに公示価格が発表された時点でその傾向は明らかであり特別驚くものではありません。ただ、さらなる路線価の下落に伴い、相続税負担は軽減されることになるでしょう。

●土地保有に優位性なし

バブル期には、土地の流動・換金可能性が高く、相続税評価額が実勢価額の50%程度であったことから保有金額そのままで評価される現預金よりも有利であるとの理由で、借入金で土地を購入する相続対策が隆盛を極めました。(私もその一翼を担ってました。反省してます)

しかし、その後それらの対策を抑制するため路線価が公示価格の80%に引き上げられたことと、大幅な地価下落により土地の流動・換金性が乏しくなったことにより、現在では、相続税評価上、金融資産ではなくあえて土地を保有することのメリットがほとんどなくなってしまいました

メリットがないと言うよりもむしろ、現預金は、当然その評価額で換金が可能なのに対し、土地は、保有している際には固定資産税が、売却の際には譲渡所得税が差し引かれ、さらに分割して処分することに制約を受けることを考慮すると不動産の価値は同額の金融資産より劣ることになります。

そうであるならば、近年は路線価(評価額)が実勢価格(時価・処分可能価値)と同程度以下であることを考えると相続税上の土地評価の基準となる路線価の水準が高すぎることになるといえます。

現在、物納が急増し、その収納財産の売却がうまくいかずに大蔵省が多額の「不良在庫」を抱えていることがそのことを如実に表しているといえるでしょう。

●売れない土地の評価

個別の土地の評価についても、実状にあわないと思われるものがあります。例えば底地無道路地等です。

底地については固定資産税を差し引くと僅少な地代しか獲得できないため借地権者以外の買い手が現れる可能性はほとんどなく、その価値はだいたい更地の20%程度ではないでしょうか。それを最大で更地の70%で評価されてしまうのです。また、無道路地等は、新たに建物の建築ができずその価値もおそらく更地の20%程度でしかないのに、相続税評価上は最小でも更地の60%で評価しなくてはならないのです。

また、第三者と共有している不動産は、処分に大きな制約を受けるため、単純に全体の評価額に持分割合を乗ずるという方法にも問題があるかもしれません。

●通達は絶対ではない

常に「一つ一つの物件を個別評価せよ」というのであれば、手続きも煩雑で徴税コストも大幅に上昇してしまうため、財産評価基本通達で相続税法上の時価の指針を示し、それに基づいて申告をするという事はやむを得ないといえるでしょう。

しかし、財産評価基本通達自体が絶対ではありません。もし、その通達に従い評価するとあまりに実状にあわない場合は、きちんと自身の考え方を主張すべきです。通達に基づいた評価額が実際の価値を上回っていると思われる場合に、不動産鑑定評価等に基づいて行われた時価申告もその6割程度が認められています

以前私が申告した事例でも通達通り評価すると建築中の家屋が完成後の家屋の評価額を上回るという理不尽な現象がおきるため、独自の評価をしたところ、結果として「通達に誤りはないが、今回はその申告を認める」とこちらの主張が認められた例もあります。

相続税の評価に関わらず税務調査の際の課税庁側が示す法律・通達等の取り扱いについて疑問がある場合には、きちんと主張しましょう。ただ、何となく税金が払いたくないからと言うのはやめてくださいね。(^^)



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