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2001.4

中小企業と税効果会計

−絶対に適用すべきか、しなくても良いのか−

●新会計基準が企業を変える?

1999年4月1日から、「新会計基準」が導入され、商法上の大会社(資本金500百万円以上又は負債20,000百万円以上)は、2000年3月決算からこれらの新会計基準に従って決算を行わなければならないことになっています。

その内容は、
(1)連結財務諸表重視への転換
(2)キャッシュフロー計算書の導入
(3)研究開発費の費用計上
(4)税効果会計の導入の4点であり、

これ以外にも有価証券の時価評価・退職給付会計や減損会計の導入等矢継ぎ早やに国際会計基準への適合に向けた会計基準の変更が予定されており、これらの会計処理の変更が株式の持ち合いをはじめとする日本的な企業経営の根幹を揺るがしかねないことから、これらは総称して「会計ビックバン」と呼ばれています。

●税効果会計って何?

今回は、これらの会計基準変更の中で聞き慣れない「税効果会計」についてお話しします。というのも他の連結財務諸表の作成等は制度自体を導入していない企業については、そもそも影響はないのに対し、黒字であればどんな企業も適用を検討する必要があるからです。

税効果会計について例を挙げて説明します。税法上認められた金額を越えた減価償却等を行った場合、会計上は費用となっても税法上は損金とならないことから、その金額が加算されたところで法人税等が計算されるため結果的に会計上の税引前当期利益に対し相対的に高い比率で法人税等が表示されることになります。

また、この償却超過額は、一定の時期が来れば会計上の処理を行わなくても税金上で損金算入が可能となるため今度は、会計上の税引前当期利益に対して相対的に低い比率の法人税等が表示されることになるのです。

このような表示では、費用収益対応の見地にたった一期間の正しい最終損益の比較が困難になることから、当期の法人税等の金額に将来予測される法人税等の乖離を法人税等調整額として加減算して当期利益を表示する方法を税効果会計といいます。よくわからないでしょ(^^)

●中小企業で想定される調整項目

中小企業においては、まずは課税計算ありきであり、減価償却や貸倒引当金の計上も税法で認められた金額をそのまま会計上の金額としているのが通例で、この不況の中どうやって利益計上をするか苦労しているのに損金にもならないのに税法上認められた金額を超えて償却等をするというのはあまり行われてはいません。

そうなるとそもそも税効果会計の導入の機会がないような気がしますが、一つだけ黒字企業であれば絶対に発生する項目があります。それが未払事業税です。これは、企業会計が発生主義により当期末で未払事業税を当期の費用として計上するのに対し、税法は申告書提出時の損金とするため必ず税法上の損金と会計上の費用に乖離を生じる上に、次期に必ずそれを再度調整し直す必要があるからです。

このほかには、中小企業においては、特別償却を準備金方式で行っている場合等に税効果会計適用の検討が必要になるでしょう。

●こんな会社が税効果会計を適用しよう!

どの解説書を見ても、適用の強制されない中小企業でも適用すべきだとかいてあります。もちろん私も「やった方が良いか」と聞かれればそう答えますが、「本当はあまりやりたくないけどどうしてもやらないといけないか」と聞かれれば勇気を持って(^^)「別にやらなくても良いんじゃない」と答えた方が正しい場合も多く見られます。

ではどんな企業が強制されなくても税効果会計の導入をした方がよいのでしょうか。

私の独断に基づく税効果会計を適用した方がよい企業は下記の3点すべてを満たしている企業であり、裏を返せはそれ以外の中小企業では積極的に税効果会計を適用する必要性はないかやっても意味がないと言えます。

(1)当期利益及び一株当たりの当期利益に重大な関心を持っている。

(2)役員報酬変更による税負担調整及びその他粉飾をしていない

(3)税引前当期利益が最低でも20,000千円以上である。

(1)については、これが税効果会計を導入するそもそもの目的のため、この数値にあまり大きな関心を持っていない企業には導入する意味がありません。

(2)については、納税の視点からの利益調整や粉飾をしているのであれば計算された税引前当期利益自体あまり意味がないので、それ以降の計算をしても全く意味がありません。

(3)については、未払事業税しか調整項目がないのであれば最低でもこの程度の税引前当期利益がないと法人税等調整額があまりに僅少でとても意思決定に影響を与えるものとは思えません。

ちなみに上記の要件をすべて満たし、実際に税効果会計を導入している企業は私の顧問先様では1割にも満たない状況です。余程大企業ばかりを担当している会計事務所以外は、どこの事務所もそんなものだと思いますよ。いや、全くやってないところの方が多いかもね・・・(^^)



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