| ●ホントに痛みで済むのか? |
発足後半年以上を経過しても未だ衰えを見せない小泉人気。マスコミの論調も「公共投資を大幅に減らし不採算企業を倒産させて不良債権処理を進めなければ、日本の景気回復はあり得ない」という主張が大勢を占めています。しかし、小泉内閣発足後株価は大幅に下落し、失業率も急上昇。ホントに今、財政構造改革を行うことが日本経済復活の切り札となるのでしょうか?2、3年マイナス成長を我慢すれば、ホントに日本経済は復活するのでしょうか?その前に、このままでは日本経済が破綻してしまうような気がしますが・・・
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| ●不良債権処理ってどういうこと |
不良債権処理とは、要するに「弱い企業を倒産させろ!」ということです。ホントに皆さんそれを望んでいるのでしょうか。おそらく、その倒産する企業に自分の取引先やましては自分の会社は入っていないのでしょう。(^^)もし、大口取引先が倒産したら今まで健全であると思っていた自分の会社が今度はその倒産させられるべき不良債権先になってしまうのです。これじゃ、日本中が焼け野原になるまで倒産を繰り返さなければならないですよね。場合によっては、現在の日本と同じような政策を採った1930年代のアメリカのようにGDPが半分にまで下落してしまうかもしれません。
リストラも、一社が行えば財務体質が健全化する正しい行為なのですが、経済全体が行うと総需要の大幅減少と失業者の増大を招いてしまいます。ミクロ経済の視点ではライバル企業が減ればそれだけ自分の会社の売上は増えるはずということになりますが、マクロ経済全体では、その分当然のことながら、総需要も減ってしまうためかえって自社の売上高は減少してしまうこともあるのです。
このように、ミクロ経済上で正しいことも、全体が同時に同じことを行うとマクロ経済上では正しくないと言うことを経済学では「合成の誤謬」といいます。大学の経済学の授業でかろうじて習った記憶がありますね。(^^)
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| ●不良債権処理は時間をかけて |
財政構造改革論者は二言目にはアメリカでS&L(貯蓄貸付組合)が破綻した際に、早急に不良債権処理をしたためアメリカ経済は今日のような回復をしたのだから、日本も一日も早く不良債権処理を進めるべきだと主張します。しかし、S&Lが破綻した時は、アメリカの全資産の5%に問題があっただけであるため、一気に不良債権処理を進めましたが、現在の日本のように全体の95%に問題があった中南米債務危機の時は,アメリカは金融機関を一行たりとも債権国からの回収をしなりよう説得し、10年以上の期間をかけてゆっくりと債権放棄等により不良債権を処理していったそうです。一気に行っていたならアメリカ中の金融機関が破綻していたかもしれません。
来年にはペイオフ解禁も予定されており、東京三菱銀行等財務基盤の比較的良好と言われている銀行への預金シフトが行われいるようですが、実はその東京三菱銀行の現在の格付けは80年代倒産の危機にあった当時のシティバンクの格付けを下回るそうです。これじゃ、ペイオフ解禁になったら安心して預けられるところが日本にはありませんね。
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| ●景気浮揚と財政構造改革のプライオリティの問題 |
ここ10年で商業用不動産が87%も下落している日本では、本来利益の極大化を図るべき企業が、債務の極小化を経営の第一義と考えているバランスシート不況が発生しています。これではいくら金利を下げてもいくら量的緩和をしても設備投資需要がほとんどないので景気抑揚効果はほとんどありません。別に金利が高いから借りないわけではないのです。これを「流動性の罠」といいますが、これも大学時代、意味は分からなかったけど習った記憶がありますね(^^)
金融政策が全く需要創造に効かず、企業の設備投資も個人消費も縮む一方であるならば、生じた需要不足を補うためには、政府が財政出動をしてその穴埋めを埋めない限り倒産によるさらなる需要不足が生じ、どんどんスパイラル上に経済は縮小してしまうことになります。
つまり、ピンとこないかもしれませんが、多くの人は「失われた10年」として、この10年間は無駄に公共投資をし続け財政悪化を招いたと理解していますが、実は、この期間の政策はバブル崩壊という経済的には核兵器でも落とされたような大ダメージを受け本来であれば恐慌になってもおかしくないこの国が実質50兆円(名目140兆円)の支出のみで国民の株式と土地資産1,300兆円を守った信じられないぐらい優秀な財政手法であったと言えるということです。
ちっとも財政支出による景気浮揚策が効かないと言いますが、小泉内閣になって財政支出を削減した途端にこれだけ景気が悪化したのは、財政支出に意味があることということであり、脆弱な景気を支える財政支出を一反削減してしまうと、開いてしまった傷口を修復するのにはより大きなコストが必要と言うことになります。このことは、先に財政構造改革を行おうして、財政支出を削減した橋本内閣によって、かえって財政赤字額が年22兆円から年37兆円まで増加してしまったことで証明済みと言えるでしょう。
ですから、高コスト体質を改善するための規制緩和や非効率的な運営が行われて公共投資手法の見直しは今すぐ行うにしても財政支出の削減は今は行ってはいけないということです。まずは、潤沢な財政支出によって、景気回復を行い、その後財政構造改革を進めなければいけないと言うことではないでしょうか。
な〜んて偉そうなこと行っていますがこれは野村総合研究所の主席研究員リチャード・クー氏の主張をまとめたものです。(^^)
このような論文が先頃アメリカで権威あるAbramson賞を受賞したそうです。「不良債権処理を急げ」一辺倒のアメリカの主張も大分変わってきているようですし、このまま更なる景気悪化がすすめば、マスコミは今度はこのような主張の大合唱になるのでしょうね。橋本内閣の時みたいにね(^^)
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