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2002.3

ペイオフと不動産投資

−不動産の投資利回りと預金金利は違うもの−

●いよいよペイオフ解禁

この金融恐慌一歩手前の今年の4月からいよいよペイオフが解禁されます。

ペイオフって何?という人はこのページをご覧の人の中にはさすがにいないかもしれませんが、念のためお話しすると要するに金融機関が破綻した場合、預け入れていた預金について現在は全額保護されていたものが、この4月以降普通預金等の決済性預金を除いて(H15.3月以降は不可)、元本10,000千円とその利息しか保護されず、それを超えた部分の金額については、その金融機関の財政状態によって、一定額は返還されないということです。

個人的には、このようなリスクを預金者に負わせること自体問題もあり、さらに何もこの金融クラッシュが起きてもおかしくない時期にわざわざそのリスクを増大させるような対策を講じることに大きな疑問を感じていますが、ショック療法で日本経済が再生すると考える「ポジティブクラッシュ論」(^^)が日本中を覆っているので致し方ありません。

●ペイオフで保護されない資金で不動産購入を?

アメリカだって、現在の日本の金融情勢であれば、まずペイオフ解禁なんてやらないと思い生ますよ。だって、あくまでも、ペイオフは平時の政策であり、これを実行しても預金者が大きな動揺をしないことが大前提だと思われます。今日のように経営不安が噂される銀行からは預金が大量に流出する一方、比較的財務体質のよい銀行は刷っても刷っても通帳の作成が間に合わず、また毎日のように「ペイオフで保護されない資金で不動産を購入しましょう」という広告が新聞に載る状況はとてもペイオフに適した環境とは思えません。

まあ、一税理士がペイオフの適否を論じても仕方がないので、今回はよく広告でみられる「ペイオフで保護されない資金で不動産を購入する」ということについて、考えてみたいと思います。

結論から申し上げると、私は上記のような広告に必ず記載されている「預金金利より遙かに高い利回りが期待できる」ということと「節税効果を考えれば、わずかな負担で不動産が購入できる」という説明には大いに疑問を感じているのです。それは・・・

単純投資利回りと預金金利は比較できない

まず、広告に書かれた、ワンルームマンションを購入すると、預金金利とは比べられない高利回りが期待できるというものですが、これには十分注意が必要です。というのは、これらの表示されたり利回りは単純利回りと呼ばれるものであり、家賃収入を投資金額で割っただけのものだからです。

つまり、「満室」を前提に修繕費や固定資産税等の維持費を一切考えずに計算されています。実際には、まず常に満室ということはあり得ず、当然諸経費も発生するので実際の利回りは大幅に減少します。ちなみにこのことは、ものすごく小さい文字で広告にも書いてあるはずです。(^^)

また、一方で建物の減価償却費が発生するので、節税効果が期待できるといっていますが、要するに減価償却とは建物の価値が毎年下がっていますといっていることであり、不動産価格の上昇が望みにくい今日では、預金でいえば毎年元本が少なくなっていますよ言っているのと同じです。つまり、不動産投資を預金と比べるために金融商品に例えるならば、「高金利だけど、毎年元本が減っていく中途換金しにくい定期預金、しかも金利は変動で赤字の場合もあり」ということですね。

このような商品の単純利回りの高さだけを表示して、預金より有利だというのはあまりフェアであるとはいえないでしょう。それこそ、空室のリスク、不動産価格下落リスク、換金性の低さ等を考慮すると、単純利回りで最低でも10%以上、出来れば15%ないと、個人的には不動産投資の魅力はないと思います。今後はそのことを頭に置きながら不動産広告をみてみてください。新聞に載るような広告には、そのような物件はほとんどないはずですよ(^^)

「わずかな負担で、都心マンションのオーナーになれます」なんてのもありますが、リスクをとっているのですから、手取りが増えるならまだしも、資金負担までして自分が住めないマンションのオーナーなんぞになっても仕方ない気もするんですけどね。他人に貸して自分が乗れもしない車のローンを支払い、支払い終わったら自分のものになるなんて言う投資する人いますかね。マンションなんて大きな耐久消費財のようなものなので35年ローンが終わった頃には、もう車と一緒でボロボロのような気がしますけどね。

そういえば、一時流行った「金持ち父さん、貧乏父さん」という本にも、同じように「金を生まない自宅に金をかけずに、金を生む賃貸用不動産を積極的に購入するのが金持ちへの道」と書いてありましたが、バブル期にそれをやった人は、みんな今、貧乏父さんですよね。(^^)この本は最後には、MLM(マルチ商法)礼賛のような気がして私は好きになれませんでしたけど・・・

●資金には目的別管理が必要

中に「公的年金が崩壊するかもしれないので将来の年金用に不動産投資を」というものもありますが、20.30歳代ならわかりますが、50歳代以降で年金資金を不動産で運用するというのはあまりにリスクが大きい気がします。

私は、別に不動産投資がいけないと言っているのでは決してありません。むしろ、資金をすべて現預金でそれも単一通貨で運用することの方が、これからはリスクがあるかもしれません。ですから、「資金に余裕のある」方が財産三分法と呼ばれるように、財産を現預金、有価証券、不動産に分けて運用することは大変意義のあることかもしれません。

ですが、資金にそれほど余裕のない高齢者等が預金で運用していたものを、ペイオフで保護されない資金が発生したからと言って、預金と同列にその単純利回りの高さだけで不動産や株式投資を検討するというは、その資金の目的からして大いに疑問があると言うことです。要するにその資金の目的にあわせた運用を検討せよと言うことです。

それでも、運用したいという人は当事務所でご相談を。株式で損切りばかりの私でよければ推奨銘柄をお教えいたしましょう。私はもう買わないけど・・・(^^)



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