●役員退職金の準備
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従業員の退職金財源の確保のためには、中小企業退職金共済等の制度が完備されており、企業は掛け金を損金処理しながら退職金原資を積み立てる方法が用意されています。しかし、この制度に加入できるのは従業員だけであり、経営者の加入は認められていません。
そこで、中には生命保険会社から中小企業役員の退職金準備用保険のご提案を受けている方もいるかもしれません。別にそれを邪魔しようとは思いませんが、それらの制度を利用する前にもう少し身近で簡単な制度はないか検証してみましょう。
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| ●小規模企業共済とは、 |
結論から申し上げて、中小企業役員の退職金の準備にはまずは、「小規模企業共済」への加入を検討すべきでしょう。この制度は、個人事業主や小規模事業者の退職金制度であり、その掛け金は全額所得税法上の所得控除項目となることから、実質的に全額必要経費に算入が可能です。なお制度の概要は下記の通りです。
■加入資格
常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人以下)の個人事業主と会社の役員等
■掛け金
月額1,000円から70,000円までで自由に選択可能
■受取時の処理
・一時金で受け取ったときは退職所得扱い
・分割して受け取ったときは公的年金等の雑所得扱い
■共済事由
・個人事業を廃止したとき等(共済金A)
・65歳以上で15年以上加入者の老齢給付請求等(共済金B)
・任意解約(解約手当金)
詳しくはこちらを参照
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| ●法の盲点をつくと言うこと |
おそらく、生命保険会社から提案されたものは逓増定期保険か長期平準定期保険を活用するものでしょう。ですが、逓増定期保険については、期間損益をゆがめる可能性が大きいものとして、数回の税制改正により支払時の損金算入割合は縮小されており、長期平準定期保険についても、保険期間全体の当初6割期間については、支払金額の50%しか損金算入はできません。
また、これらの生命保険商品を払済保険に変更することにより早期の損金算入を図る裏技もありましたが、それについても本年度に税制改正により封じ込められることになりました。
つまり、仮に加入時にはうまく法の盲点をつき節税になったとしてもすぐに税制改正でその矛盾点が是正されてしまうため、役員退職金原資形成という長期の対策をそのような視点で行うとほとんど意味がないか、最悪の場合資金繰りの圧迫という弊害のみしかないこともあります。
ですから、その商品が何らかの政策的配慮により加入を促進しているものなのか、本来の趣旨・目的とは違う効果をねらったものであるのかをきちんと把握することが大切といえます。
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| ●民業圧迫!でも利用者としたら・・・ |
「あれ、なんで個人加入なのに法人の節税になるの?」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。これは、簡単なことです。小規模企業共済掛金額分だけ役員報酬を引き上げるからです。
こうすることにより、法人側では役員報酬増額分は支払時に全額損金算入が可能であり、役員個人側では、小規模企業共済掛金額が全額所得控除の対象となるため、結果的に法人で掛金全額を損金算入したのと同様の効果が発生するのです。
さらに、細かいことですが増額した役員報酬額からは給与所得控除額を控除できるため実際には法人で生命保険に加入するよりもその節税効果は大きいことになります。
また、中には死亡時の保障がないから単純比較は出来ないという方もいらっしゃるかもしれません。
もちろんその通りですが、私は、それこそそれらの保障については、個人で県民共済等に加入するか法人でも定期保険(掛け捨て型)に加入する方がコストパフォーマンスは高いと思います。わざわざ積立型で両方を付保する必要はないでしょう。
金額的にも、ご夫婦がともに役員になられている企業であればお二人で合計年額1,680,000円までの加入と損金算入が可能となります。ですから、長期平準定期保険等の導入をすべて否定するつもりは全くありませんが、まずはこの最も身近にある「小規模企業共済」制度を活用した上で、さらに必要がある場合に、それらの保険を活用することを検討なさっては如何でしょうか。
バブル以降100件以上の生命保険の見直し提案をしてきた私なりの結論がこれです。もっと良い節税用保険はないかと探し続けてみたら、結局誰でも知ってる小規模企業共済が一番得だったという昔話「ネズミの嫁入り」のような話ですね。
でも、小規模共済や県民共済を薦めても「なんだよ、もっとすごい保険、提案してくると思ったのに」という顔されちゃうんですよね。(^^)
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