| ●連結納税制度とは |
連結納税制度とは、法人税の計算上本来は個別に課税計算を行うグループ会社の損益を一つにまとめて計算する仕組みのことです。結果として、グループ内に赤字企業と黒字企業がある場合、その黒字と赤字が相殺されるためグループ全体での法人税負担が単体でそれぞれ申告した場合の合計額を下回ると言う効果が期待できるのです。
本年3月決算が導入初年度であり、初年度での申請は全国でおよそ200社。この数値からもNTTのような巨大企業グループが適用対象として想定されており、一般の中堅・中小企業には縁のない制度のようでもありますが、中には数社のグループ企業であっても連結納税制度の適用申請をなさっている方もおられます。
この度、私もその中の一社を担当させて頂くことになり、とりあえず無事申告を完了致しましたので、自分自身の体験をふまえ、この未知の制度が中堅・中小企業で有効活用できるかどうかをお話ししたいと思います。どうも、このコーナーは同業者の方しか見てないみたいですからね(^^)
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| ●連結納税の注意点 |
連結納税導入の際には、主に下記の点に注意する必要があります。
(1)付加税
H16.3.31開始の事業年度までは、本来の法人税に加え、2%の付加税が課されます。ですから、赤字と黒字の相殺による節税額を付加税が上回るのであれば導入のメリットはないことになります。
(2)累積欠損金の切り捨て
連結対象とした子法人の繰越欠損金については引き継ぎ対象とならず切り捨てられます。ですから、子法人に高額の繰越欠損金がある場合、導入の功罪を慎重に判断する必要があります。
(3)留保金課税
単体申告時には一社ごとに計算されていた留保所得金額と控除額が連結納税時にはグループを一社とみなして計算するため、単体申告時には課税されていなかった留保金課税が新たに課税される場合があります。(中小企業者等については、H16.3.31決算以降3年間は適用が停止されます)
(4)交際費
単体申告時には一社ごとに計算されていた交際費の損金算入限度額が連結納税時にはグループを一社としてみなして計算するため、交際費の損金算入限度額が縮小する可能性があります。
上記の点、特に(2)については、グループ会社一社ごとの今後数年間に渡る収益性を含めた慎重なシミュレーションをした上で連結納税採用の可否を判断する必要があります。
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| ●実際はこれだけの事務量が・・・ |
これ以外にも連結納税事務量の増大についても慎重に検討する必要があります。
私が担当させて頂いた案件は2社の連結納税で特に複雑な要件のないおそらくミニマムのパターンだと思われますが、それでも、私ともう一人の提携税理士の2名でやっとの思いで期限内ギリギリに処理を致しました。
なにせ、申告書自体が税務署にもなく、税務署から入手が可能になったのが5/19でしたからね。それでは間に合わないので官報から申告書フォーマットを入手し1ヶ月くらいの時間をかけて自分でEXCELベースの連結納税用申告プログラムを作成致しました。もうそれこそ、その間は自分は税理士じゃなくてプログラマじゃないかと思うぐらいの作業量です。
ちなみに、H15.3.31の申告期限現在、市販の連結納税用申告書はほとんどなく、仮に販売されるとしてももともと200社程度しか潜在顧客のいないソフトですから、ソフトウエア代だけでもおそらく一千万円以上になるでしょう。
また、連結納税制度自体は実質的には法人税のみの規定であるため、法人税と事業税等で繰越欠損金の処理方法が異なるため、別途、事業税の繰越欠損金額についてもきちんと把握しておく必要があります。
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| ●中堅・中小企業での活用 |
「日本初の連結納税対応事務所」という肩書きとチャレンジスピリッツだけで、通常の申告報酬の合計額程度で私は受任致しましたが、本来であれば、単純に個別企業の申告報酬を合算して計算できる申告作業量ではありません。おそらく単体申告報酬の合計額と同額の連結納税申告報酬を頂く必要があると思われます。特に修正申告は、更に複雑な処理が予想されるため修正申告報酬は慎重に定める必要があるでしょう。
また、顧客サイドとしても、連結納税の対象となる法人が10件以上にもなれば、まず個人事務所が対応することは困難であり、結果として監査法人系のタックス部門等に依頼することになるでしょうから、その報酬額も相当高額になると思われます。その結果、企業規模に合わない申告報酬となってしまい、場合によっては、税理士報酬と会社での事務コストの増大分が節税効果が上回ることさえあるかもしれません。勿論不当に高い報酬を取っているわけではありません。それぐらい大変な作業なんです。
では、どのような場合に、中堅・中小企業でも連結納税導入の検討をしたらよいのでしょうか。赤字と黒字の相殺が目的であれば、何も連結納税を選択しなくても、合併によっても同様の効果は得られると思われます。
そうなると、(1)資金調達の窓口数を確保しておきたい(2)事業再編をタイムリー行うために分社化しながら赤字のリスクを吸収したいと言う場合であれば、中堅・中小企業においても連結納税制度導入を検討する価値はあるかもしれません。
ただし、いずれにしましても、単純な節税額だけではなく増大が予想される事務コストについてもきちんと検討することをおすすめ致します。それと、もし個人事務所が受任したら、一緒に取り組んでくれる税理士と税務に明るい有能なソフトハウスと提携することを考えましょう。自分で一人で行おうとするとなるとかなり厳しいですよ。そして、普段、「使いにくい!」と文句ばっかり言っている申告ソフトのありがたみが身にしみてわかると思います。(^^)
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