| ●中小企業の決算書の信憑性 |
決算書を作成しない企業はありません。ですが、批判をおそれずに言えば、多くの中小企業では粉飾や逆粉飾が行われており、作成された決算書がすべて正しくその会社の財政状態や経営状況を表しているとはいえないのが現状です。(もちろん当事務所関与分は除く)
そうなると、それらの決算書を元に財務分析を行っても全く無意味ということになってしまいますが、
今回からは審査のプロである金融機関はどのように財務諸表分析を行っているかを銀行員向けのテキストをみながら分析してみることにしましょう。
皆様が、与信管理上、取引先の財務諸表を入手することが出来た場合の分析に、お役に立てて頂ければ幸いです。
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| ●比率でみるか実額でみるか |
財務分析を行うには、当然、数値が必要であり、特にそれらの変化に着目することになります。では、この場合、比較すべき数値は、比率でみるべきなのか、実額でみるべきなのかという問題があります。
ほとんどの財務分析のテキストは比率分析で中心であり、実額の変化ははおろそかにされがちです。しかし、中小企業では元々の数値が小さいためちょっとした変化で数値に大きな変動が起きてしまうため、まずは、実額が大きく変化している項目からその原因を把握し、その時点で粉飾がないかを検討したのち、それらの修正を加えた上で比率分析を加えた方がよいといえます。
多くの金融機関には、この比率による分析を行う、独自のシステムや(株)オックス情報のアラーム管理システム等が導入されており、粉飾の排除と修正後の決算書に基づく倒産確率の判定を行っております。要するにちょこちょこっと数字をいじった程度の粉飾はほとんど金融機関には、把握されていると考えた方がよいでしょう。
また、それらのシステムの解説書をみると、中には、経常利益が1,000千円程度で低位安定しているものは、ほとんど粉飾と考えて問題ないという恐ろしい記述さえあります。でも、役員報酬の調整も粉飾だと言われれば、まあ、合っていると言えばあってますね(^^)
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| ●損益でみるか資金繰りでみるか |
こちらもほとんどの財務分析のテキストは損益をベースにその会社の収益性等を判断していますが、そもそもその数値が作為的に作られたのであれば全く意味がありません。それに対して、資金繰りは、実際の預金残高に嘘がなければ、そこから計算される資金繰りの状況は信頼性の高いものといえます。
ですから、まずは資金繰り表からその会社の資金繰りの状況を把握することを優先し、次に粉飾の可能性を排除した決算書から損益を把握する必要があるといえるでしょう。このことは、公共工事に入札をする際、提出する経営事項審査の評価においても、この粉飾しにくいキャッシュフローの概念が多く取り入れられたことからもわかるといえるでしょう。
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| ●経常収支比率を重視しよう |
決算書の信憑性が高くない場合でも、会社の経営状態を比較的良く表している指標があります。それは経常収支比率です。ですから当事務所でもこれらを記した資金移動表でまずは会社の業績説明をするようにしています。(別に粉飾をしているわけでありませんよ)
経常収支比率とは、通常の営業活動からの経常収入からそれらを獲得するために支出した経常支出で割ったものです。ですから、この比率が100%を超えていれば経常収入が経常支出を上回っているため資金繰りは安定しており、100%を切っていれば本業で資金繰りが逼迫していることになります。もし取引先のこの比率が105%を超えれば優良企業、95%を切ればかなり厳しい状況で、それが3年続いた先との取引は相当慎重に行わなければならないといえるでしょう。
また、本当は赤字なのに融資を引き出すために黒字にした場合で、売掛金や在庫を水増ししている場合には実際の入金はありません。ですから、このような状態だと損益計算書から計算される経常利益率は黒字なのに、キャッシュフロー計算書から計算される経常収支比率が100%以下と言うことになりますので、このような状況であれば、まず粉飾を疑ってみる必要があります。
さすが金融機関、良いところに目をつけますね。(^^)
次回は、売上債権に潜む罠についてご説明いたします。
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