| ●不動産流動化のための譲渡所得税率の軽減 |
H16.1.1日以降の譲渡から、不動産については、所得税の税率が従来の26%から20%(所得税15%・住民税5%)に軽減されました。
その他にも従来の居住用財産を買い換えた際の譲渡損失の繰越控除の要件緩和・期間延長に加えて、居住用財産を売っても借入金を返済しきれない方を支援するため、借入金残高が譲渡価額を超える場合における譲渡損失の繰越控除制度が新設されるなど、デフレで痛んだ不動産の流動化を促進するような税制改正が行われました。
いやいや、そんな財務省の説明を鵜呑みにしちゃいけません。それらの大々的にアナウンスされた税制改正の裏で、実はものすごい改正も行われておりました。
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| ●不動産譲渡損失の損益通算禁止 |
「不事山譲(富士山頂)」なんて覚えさせられましたが、従来は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得(株式は除く)から発生した損失については他の所得との損益通算が可能でした。しかし、H16.1.1以降の譲渡からは、不動産の譲渡から発生した損失については、他の所得との損益通算や
繰越控除が認められないことになりました。(ただし、上記の一定の居住用財産の譲渡損失は除く)
これじゃ、バブル期に賃貸用不動産を購入したような方は、損失を覚悟で不動産を売却する気にもならないでしょうし、これから賃貸用に購入しようという方もビビってしまい購入意欲も減退するでしょう。
今後は、不動産の含み損を節税額によって可能な限りリカバーしようと思うのであれば、その不動産譲渡と同じ年に先祖伝来の土地等、確実に含み益のあがっている不動産を売却し、それらの損失と利益を譲渡所得内で内部通算するしか方法がないことになります。
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| ●分離長期譲渡所得の特別控除の廃止 |
5年以上所有している不動産を譲渡した場合、従来はそこから生じた譲渡所得から1,000千円の特別控除を控除することが認められておりましたが、これもH16.1.1以降の譲渡から認められなくなりました。
いくら税率が6%下がったとしても、この特別控除がなくなった分の譲渡所得税が増加しますので、「4,333千円以下の少額の譲渡所得」が発生する方の場合、昨年よりかえって増税になるのです。
また、相続後に納税資金を作るため不動産を売却する際に、あえてその不動産を共有とした相続をした後に売却をし、各人がこの1,000千円の特別控除を利用することによって譲渡所得税を軽減しようとする手法も封じ込められることになりました。
どこが、不動産の流動化策なのでしょうか。どう考えても、税率軽減分の財源をこの改正で取り戻そうとしているようにしか思えません。これじゃ、アクセルとブレーキを両方踏んでいるのと同じです。
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| ●不動産は法人で購入すべきか、個人で購入すべきか |
不動産を法人で購入すべきか、個人で購入すべきかを一言で言うことは難しいかもしれませんが、私の場合、下記の様なことを判断要素としてアドバイスするようにしています。
| 判断要素 |
通常はどちらが有利か |
| (1)資金調達はどちらがしやすいか |
事業用不動産であれば、法人購入でも、個人で購入し法人に賃貸しても問題なし。
ただし、賃貸用不動産の場合、法人での購入は金融機関との交渉次第。 |
| (2)資金調達期間はどちらが長いか |
店舗兼住宅等の場合、全体に住宅ローンが適用される場合があり、個人の方が長期間での調達が可能な傾向大。 |
| (3)財務体質への影響は |
事業用不動産でも、個人で購入し法人に賃貸した方が、借入金がオフバランスになり有利な傾向あり。
特に経営事項審査では影響が大。 |
| (4)賃貸料の課税は |
個人は累進課税、法人は二段階課税のため、全体の所得をみて判定。ただし、法人の場合、役員間での所得分散等調整の余地大。 |
| (5)事業承継上どちらが有利か |
明確な後継者がいる場合、法人で購入するほうが良い場合多し。そうでない場合、事業用不動産でも個人で購入し法人に賃貸しておくことも検討。 |
| (6)譲渡損益への課税は |
法人の場合、譲渡益が出ても譲渡損が出ても経常所得と合算・相殺。ただし、利益が出ても役員報酬等での調整の余地あり。
個人の場合、譲渡所得が出た場合、20%課税。譲渡損失発生の場合、他の所得との通算不可のため、リスクは法人の方が低い |
今回の改正で、あらたに譲渡損が発生する場合のリスクも考慮した上で不動産を法人で購入するか、個人で購入するかを検討しなくてはならなくなった訳ですね。でも、まあ、はじめから損をすると思って不動産投資をする人はいないと思いますけど。(^^)
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