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2003.11

■集中連載■見抜け!粉飾決算

−売上債権に潜む罠−

●決算書を見る上での比重

以前金融機関の融資担当者とお話をした際お聞きした話によると、財務諸表を見る際には、全部を均等に見るのではなく資産を8、負債を1、損益計算書全体で1という比重で見るというものでした。

財務分析のテキストでは多くの場合、収益性の分析はほとんど損益計算を見て行うと書かれており意外な気もしましたが、要するに損益計算書は貸借対照表に記された金額によって大きく変動してしまうため、まずは、資金がどのように使われたかを示す資産の部を精査し、粉飾を排除しそれらの修正を加えた上でないと正しい分析など出来ないということなのでしょう。

自己査定のマニュアルを見ても回収に懸念のある融資先は資産の内訳科目を徹底的に洗えと書かれており、融資先が赤字で第二分類になると金融機関の処理業務が大幅に増えることがわかります。私の友人の銀行員など「数万円の赤字なら自分が払ってでも黒字にしたい」といっているくらいです。(^^)

というわけで、今回はその粉飾が行われやすい売上債権を見る上での注意事項についてご説明したいと思います。

●売掛金を見る際のチェックポイント

売掛金を見る場合、まずは、科目内訳書に記載された相手先の中に回収不能になりそうな先がないかあるいは、関係会社に対する売掛金で高額のものがないかをチェックします。また、昨年度と全く同額の相手先があった場合、すでに回収不能になっている可能性があるので要注意でしょう。

これらの個別調査をした後、比率分析を行います。売掛金残高を平均月商で割ることによって計算した売掛金の回転期間を3期間で比較をとってみます。もしこの期間が異常に長くなっていた場合、回収の出来ない不良債権が発生しているか、利益計上のための架空売上高が計上されている可能性があります。さらにこのような場合で、もし、粗利益率も異常に改善されている場合、架空売上高計上の可能性は非常に高いといえるでしょう。

また、通常の物販業の場合、売掛金の回収サイトは2ヶ月未満であり、それを超えると受取手形で回収する場合が多いので、売掛金単独の回収サイトが2ヶ月以上の場合、粉飾の可能性があると銀行員向けのテキストにも記されております。

●受取手形を見る際のチェックポイント

全く架空の受取手形を計上する可能性はさすがに低いでしょうが、すでに不良債権化している受取手形をそのまま計上している場合があります。

これらは科目内訳書の明細でその他となっていたりしている場合は、要注意です。また、それらの資料がない場合でも、売掛金と同様、受取手形勘定の残高を平均月商で割った回収期間の推移から異常を発見することが可能です。ただし、この場合、割引手形の残高や裏書手形の残高も加味する必要があります。

●融通手形には手を出すな

ですが、これよりも危険で注意しなくてはならないのは融通手形の振り出しです。これは金融機関で割引をしてもらうためだけに商取引とは無関係に発行する手形であり、勝手に融資を引き出しているのと同じであり非常に危険な行為です。

手形を借りている企業が当然資金繰りが逼迫しているのはわかりますが、手形を貸す方はそうでもないと考えがちです。ですが、実際は手形を貸している企業もかなり危険であるといえます。

それは、資金繰りの厳しい企業同士が手形を交換している書合手形の場合や割引により得た資金を折半して手形を貸した先に戻している場合があるからです。

また、単に手数料欲しさで手形を貸したとしても、実際に借りた先が返済資金を用意できない場合、予定外にその手形を落とすための資金が必要になる場合もあり、手形を貸した先も非常に危険な状況にあるといえます。

ですから取引先の中に融通手形に関与している会社がある場合、多くは資金繰りは末期状態であり、回収可能性は非常に危ういため、このような先への商品の納入は相当慎重に行う必要があるといえるでしょう。

これらを見抜く最高の方法が当座預金の異動照会だそうです。金融機関は端数のない金額の手形が頻繁に決済されていた場合、融通手形か高利金融に手を出している可能性を疑うようです。ただし、さすがに取引先の当座預金取引資料を入手することは出来ないため、これは取引のある金融機関しか使えない調査手法でしょう。

また、中には、裏をかいて端数付きの手形を振り出す場合もあるようで、「(1)関係会社振り出しの手形(2)取引の流れと逆の手形(3)同業者の手形融通手形の可能性が高いので要注意」と銀行員向けのテキストにも明記されています。

あれ?これを読んでいて顔色が悪くなってきたなんて人はいないですよね。(^^)


次回は、棚卸資産等に潜む罠についてご説明いたします。







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