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2007.7
取扱注意!相続時精算課税−その1

−本当に相続税対策になるのか?−

●相続時精算課税って何?

相続時精算課税制度ってご存じですか?

これは、一定の要件に該当する人が生前に 贈与をしても2,500万円、場合によっては 3,000万円、3,500万円まで贈与税を非課税に してくれる制度です。

もともとは、金融危機当時に、 「預金が高齢者に偏在している。それは贈与税が高いからだ。」

それじゃ、「贈与税のハードルを下げれば お金の必要な若年層に資金が移動し、景気が回復する?」と言う理論で導入された制度です。

結論は、この制度はうまくニーズに合えば 有用な制度です。

ですが、はっきり言って非常に 副作用の大きい制度でもあるので、本当にこの制度がベストなのかを慎重に 判断する必要があると私は考えます。


●「相続対策」と「相続税対策」の違いをはっきりと

まずは、「相続対策」と「相続税対策」の違いを はっきりさせることが必要です。

この制度は「相続対策」には有用ですが 「相続税対策」には全く効果がありません。
むしろこれから行う相続税対策の手を縛るものと 言っても良いでしょう。

誤解なさっている人もいるかも知れませんが、 この相続時精算課税制度は通常の年間110万円という
基礎控除枠が拡大されたものではありません。


「贈与税」について通常の「暦年課税制度」ではなく、「相続時精算課税制度」という別の制度を利用することを宣言する制度なのです。

この相続時精算課税制度を利用すれば、確かに贈与税の 非課税枠は2,500万円と一気に大きくなります。

そしてその非課税枠を超えたものは一律20%で贈与税が課されます。

一方、暦年課税の場合は基礎控除110万円が差し引かれた残りについて累進税率による贈与税が課されます。

じゃあ、この二つの贈与税の損益分岐点を 求めどちらか有利な方を利用すれば・・・

と言うものじゃないんです。


●相続時精算課税の本質はこれ!

実は、言葉の通り「相続時精算」、つまり この贈与はあくまでも仮のものであり相続時にその贈与を全くなかったものとして 全部相続財産に合算し、相続税が課されるのです。

まあ、所得税の源泉徴収みたいなもので 「取りあえず、贈与税は安くしていてあげるから相続の時にちゃんと精算してね」という制度なのです。

また、怖いのは一旦この相続時精算課税制度を 選択すると、それ以後は同じ人からの贈与についてはもう二度と暦年課税を 選択することが出来ません。

相続税対策の効果を安定的に発揮させる最大の武器は「時間」です。

つまり、暦年贈与課税に従い、 時間を掛けて少しずつ毎年贈与を繰り返すことが地味ながら安定的な相続税 軽減効果を発揮するのです。

しかし、この相続時精算課税制度を 選択したらもうこの手法を使うことは出来ないのです。

つまり、この制度の利用に関して、

多額の相続税負担が予測される人は 相当慎重に

利用しなくてはいけない


ということです。

この制度の本質は「自分の目の黒いうちに 誰にどの資産を相続して欲しいか」を明示する ための制度と言うことなのです。

これが、「相続対策」には なっても「相続税対策」にはならないと言った意味です。

(贈与時点よりも相続時点でその財産の 価値が上がっていれば、相続税軽減効果もあったことになります、
でも、それはあくまでも結果論。贈与時点で相続時の財産価値を予測できるのは神様のみです。)


●贈与税のそもそもの存在意義を考えよう!

そもそもよく考えてみましょう。

元々贈与税は「相続税の補完税。」 もっと言えば 生前贈与で相続税逃れをするのを防止するため あえて相続税よりも不利にした税法です。

それを財務省がそんな簡単に 軽減なんてするはずないじゃないですか。

私など、資産家が相続税対策をさせないための 「国家の罠」じゃないかと思っているくらいで。


★ポイント:多額の相続税負担が予想される人は慎重に!

次回は、いつ財産を移転するのが 最もコストが安いのか?という視点でこの制度を見てみることにします。



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